トヨタヴェルブリッツは4月16日、リーグワン第13節でドコモレッドハリケーンズ大阪(RH大阪)と対戦。6トライを挙げて38-25で勝利し、8勝目を挙げた。
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中5日のショートウイークで迎えたビジターゲーム。会場となった大阪市のヨドコウ桜スタジアム(旧長居競技場)は、RH大阪の選手入場には炎が使われ、プレーの合間に絶えず音楽や映像が流れるなど、凝った演出の中での試合となった。
前節、BL東京との直接対決に敗れ5位から6位になったトヨタ。4強入りへ再起を賭けた大事な試合、口火を切ったのはSH茂野海人共同主将だった。
この日はFWで徹底してプレッシャーをかけ反則を誘い、タッチキックで相手ゴール前へ。ラインアウトモールで確実にトライをとることに集中した。
「トヨタは昔から力強いFWが売り。今週ずっと"パック(FW)としてプライドを見せよう"とうるさいほど言ってきた」(NO8姫野和樹共同主将)
開始から意図通りFWが塊で相手ゴールラインを越えるも、グラウンディングできない場面が2回続く。もどかしい空気を打ち破ったのが背番号9だった。
9分、相手ゴール前でのラインアウトモール。茂野は内側に走りこみ、HO彦坂圭克からパスをもらい、自らインゴールへ。FWの献身をトライに結び付ける。
17分には自陣10㍍中央付近でペナルティを得ると、すぐに仕掛けた。20㍍近くゲイン、フォローしてきたWTB髙橋汰地にパス。次に繋いだSOライオネル・クロニエがタッチに出される寸前、難しい体勢から右腕一本でCTBチャーリー・ローレンスにオフロードパス。そのままトライスコアラーとなった。
「特に考えすぎず、自分のシンプルな役割を意識した。リーダーは試合の中でいいパフォーマンスを出すことが大事」(茂野共同主将)
言葉通り、リーダーは淡々と役目を果たした。地元大阪でのゲーム、さらに兄・洸気選手との兄弟対決とあり、両親もスタンドから見守った一戦でもあった。
その後、RH大阪に個人技でトライを奪われ、12-7に。さらにハイタックルなどで2PGを返され、12-13と1点ビハインドでの折り返しとなった。
後半はRH大阪のキックオフ。早々に自陣ゴールを背に守る場面もあったが、相手FBラリー・スルンガの突進をFL古川聖人が低いタックルで仕留め、流れを引き戻した。後半の入りは、今季の課題でもあった。
「意識的に自分たちが苦手なところを受け止めて、その一歩から意識して臨もうと話した。結果、メンタル的にも良かった」と姫野共同主将。
苦手な時間帯を乗り切ったことで前に出る勢いが増す。9分にラインアウトモールでHO彦坂、17分にもラインアウトモールを起点にFL古川がインゴールに飛び込み、24-13。本来のプレーが蘇った。その後も26分SH福田健太、37分CTBロブ・トンプソンがトライ。38-25でRHから勝ち点5を獲得し、勝利を挙げた。
サイモン・クロンHCも「チームとして落ち着きを失わず、モールでプレッシャーをかけられた」と試合の流れを評価した。
この日は開幕戦から連続出場を続けてきたFLピーターステフ・デュトイがメンバー外。サイモン・クロンHCは「彼はこれまで、かなりの時間出場している。リフレッシュさせた」と説明。第3列は吉田杏、古川聖人、姫野共同主将と今季初のフレッシュな組み合わせとなった。
「コミュニケーションがとりやすかった。デュトイも休めたし、チームにとってプラスになった」と姫野共同主将。普段は密集の仕事が多い古川もオープンサイドFLで積極的にボールキャリー。チームとしてのオプションを増やした。
一方のRH大阪。LOローレンス・エラスマス主将はじめ、昨季の躍進を支えた主力が負傷。NTTグループのチーム再編により、来シーズンはディビジョン1への不参加が決定しているが、モチベーションを失うことなく80分間戦う姿勢を貫いた。HO牛原寛章ゲームキャプテンは「応援してくれるファンのためにもプレーでしっかり見せる。残り3試合、1試合1試合プライドを持って戦う」と矜持を見せた。
今節は4位の横浜E、5位のBL東京も勝利し、順位は変わらず。4強入りへの課題を聞かれたサイモン・クロンHCは「まずは次の試合に集中。ディフェンスはもう少しつき詰めたい」と語った。
「自分たちのコントロールできることにフォーカスする。あとは、一歩でも二歩でも成長すること。日頃の練習から常にベストな練習、ベストなプレーヤーでいることが必要」と姫野共同主将。
次の対戦相手は静岡ブルーレヴズ。ビジター3連戦の2試合目だ。追いかける側に失うものはない。この試合からさらに成長して、勝ち点を積み上げる。
CTBマレ・サウは2月5日、BR東京戦以来の先発
前半11分、先制トライを挙げたSH茂野海人共同主将
後半17分、FL古川聖人がモールからトライを狙う
プレーヤーオブザマッチはHO彦坂圭克。オフィシャルサポーターの依吹怜さんから帽子を受け取る
今節もたくさんのご声援をいただきありがとうございました。
次節もよろしくお願いいたします。