咲き揃った桜が周囲を彩る3月27日、千葉・柏の葉公園総合競技場でリーグワン交流戦対NECグリーンロケッツ東葛(GR東葛)戦が開催された。ともにファーストジャージーが緑色であることから、ホスト側は「グリーンダービー」と命名。トヨタはビジター用のジャージーを着用したが、GR東葛側の事前の呼びかけで、スタンドには緑色の服を身に着けた観客が目立った。
試合はトヨタが終始リードを保ち、5トライを奪い36-10で勝利。通産成績を7勝4敗とした。
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3月5日の第8節・SA浦安戦以来3試合ぶりの白星、サイモン・クロンヘッドコーチも「後半に関しては課題も出たが、非常に満足している」と顔をほころばせた。
この日のテーマは「ボールを持っていないとき(=オフザボール)の動きと、エモーショナルエナジー。オフザボールの練習はこの1週間ずっとやってきた」(NO8姫野和樹共同主将)
極寒の雨中戦だった前節の横浜キヤノンイーグルス戦。前半、PGで得点を重ねたが、相手のカウンターへの反応が遅れ、9-20で逆転負け。その課題を克服するための1週間だった。
風下から攻めたトヨタだったが、FWがしっかり身体を当てて、小刻みに前進。一歩前に出てもそれ以上は無理をせず、サポートを待つ。まずはボール確保に注力する、地に足をつけた戦いで、開始から主導権を握った。
最初のトライは前半8分。相手ゴール前スクラムからFWが続けて縦をつき、SH茂野海人共同主将が左後方のFWにパスすると見せかけて右後方のBKへ。CTBチャーリー・ローレンスが飛びこんだ。続く13分にもFWが相手ゴール前でフェイズを重ね、WTB髙橋汰地がタックルを受けながらもインゴールに身体を伸ばしてフィニッシュ。12-0とリードする。
GR東葛に1トライを返されるが、30分にはSOライオネル・クロニエが転がしたキックをCTBローレンスが抑えこの日2本目のトライ。36分にはクロニエが相手パスをインターセプト。前半で4トライを奪い、29-5で折り返した。
後半、先にスコアボードを動かしたのはGR東葛。8分にラインアウトモールからトライを奪う。トヨタは大半の時間を相手陣内で過ごしたにもかかわらず、ミスや反則で、目の前のゴールラインには、なかなか届かず。20分にはSOクロニエがPGを失敗。もどかしい時間帯が続いた。5本目となるトライは37分、姫野共同主将がラインアウトモールからあげたものだった。
「ボーナスポイントもとれて満足。最近、トヨタのラグビーを見せられていなかったが、前半はやりたいラグビーができた」と姫野共同主将。
ボールを手にしていない時間帯も全員が働き続ける前節の反省点はクリアした。あとは後半の得点力。勝ち点で並んだ場合は得失点差で順位が決まるだけに、できる限り得点を重ねておきたい。
姫野共同主将は「後半、チャンスがありながら取り切れなかったのは、何か原因がある。たくさん修正点はあるが、勝って反省できるのは何より」。
埼玉WK戦、横浜E戦と連敗していただけに、一番の収穫は勝利。今後も、「勝って反省」のサイクルを定着させたい。
この試合でコカ・コーラから移籍してきたLO西村龍馬が先発でデビュー。前半、トライの起点となる力強い突進を見せた。
WTB髙橋汰地は前節に続く2試合目の先発。復帰戦は降りしきる雨でスピードを発揮できなかったが、この試合でリーグワン初トライを記録。しばしば強気の走りを見せ、復調を印象付けた。
「トライは取りたかったが、自分としてはまだ納得がいかない。次まで時間があるので、プレーを分析して、良くなるよう改善していきたい」
ディビジョン1は、6週連続のカンファレンスAとの交流戦が終了。1週の休みを経て、4月9日からカンファレンスB内での2度目の対戦が始まる。連敗から立ち直り、初のボーナスポイント付き勝利でバイウイークを迎えられるのは、気持ちの上で大きい。
トヨタは現在5位。次は4月10日に岐阜・長良川競技場で6位の東芝ブレイブルーパス東京を迎え撃つ。チームはつかの間リフレッシュして、終盤の5連戦に向け英気を養う。
デビュー戦を勝利で飾ったLO西村龍馬
リーグワン初トライを記録したWTB髙橋汰地
CTBチャーリー・ローレンスは2トライを挙げプレーヤーオブザマッチに
WTB彦坂匡克も今季初の先発
2試合ぶりの勝利にサイモン・クロンHCも笑顔がこぼれる(右端)
今節も大変多くのご声援をいただきありがとうございました。
次節もよろしくお願いいたします。