トヨタヴェルブリッツは3月18日、秩父宮ラグビー場で横浜キヤノンイーグルス(横浜E)と第10節交流戦で対戦。
9-20で敗れ、通算成績が6勝4敗となった。
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前日までの春の陽気から一変。試合開始時の気温は4度。降りしきる雨、ときおり横殴りの風が雨粒とともに頬を叩く。横浜EのHO庭井祐輔副将が「後半開始前は(寒さで)震えが止まらなかった」と振り返った過酷なコンディション。80分を戦い抜いた両チームの選手スタッフとレフリー、傘をささずに見守った2767人の観客が称えられる試合だった。
ボールを手放すリスクを避け、FW主体の攻め。エリアの獲得はキックで手堅く。開始からトヨタがとったのは雨中戦の定石だった。
前半は機能した。接点でも上回り、24、29、33分とSOライオネル・クロニエがPGで3点を積み上げる。トライチャンスは3点を返され9-3となった前半終了直前だった。相手陣ゴール前でFWが連続攻撃。相手のペナルティからタッチキックを選択した。ゴール前ラインアウトモールにBKも入り13人で押し込んだが、相手に阻まれてグラウンディングできず。そのまま折り返した。
後半、横浜EはWTBにセブンズ日本代表で活躍した松井千士を投入する。コンディションの悪い中、足腰の強いランナーを投入したことが効いた。
トヨタのキックオフを相手が蹴り返して自陣でのラインアウト。横浜Eはトヨタボールをスチールすると、SO小倉順平が走りこんできた松井へパス。松井はそのまま腰の強いランニングで大きくゲインした。トヨタはなんとかタッチに出したが、直後のラインアウトモールからトライを奪われ、9-10と逆転された。
前半終了間際にトライをとれなかったトヨタと、後半開始直後に取り切った横浜E。試合はこの5分に集約されていた。さらに横浜Eの「奇襲」は、心理的に少なからぬ動揺を与えた。
その後、風下のトヨタは自陣に釘付け。相手陣に入ることができず、時間を重ねていく。前半、押していたスクラム、ブレイクダウンも徐々に相手が有利な状況に。
後半22分には、PR淺岡俊亮が危険なタックルの判定で退場。以後、14人での戦いを強いられる。
34分にもトライを追加され、9-20。終了間際、トライを狙いに相手ゴール前に迫ったが、ターンオーバーされ、ノートライでの敗戦となった。
サイモン・クロンHCは「後半、テリトリー、ポゼッションコントロールがうまくいかなかった」と振り返った。
敗因は後半、自陣を脱出できる術を持てなかったこと。キックマネジメントに長けたFBウィリー・ルルーをメンバー編成上、先発できなかったことも影を落とした。さらに埼玉WKとの激闘から中6日、ビジターでの慣れないナイトゲームという状況もあった。後半、雨中でBKも絡めたアタックを見せた横浜Eが一枚上手だった。
この試合でWTB髙橋汰地、交代出場のWTBバティリアイ・ツイドラキがリーグワンデビューを果たした。髙橋は昨秋の日本代表合宿で負傷、長らく実戦から遠ざかっていた。
「個人的にも久しぶりの公式戦。思い切ってプレーしようとしたが、自分らしさを出せず、チームのみんなに引っ張ってもらう状態だった」と反省を口にした。髙橋は昨季のトップリーグで10試合中8試合先発。9トライを奪った大きな得点源。実戦感覚が戻れば、心強い存在だ。ツイドラキも公式戦は2シーズンぶり。4月には摂南大で活躍したFB/CTB弟ヴィリアミも加入する。
姫野共同主将は「チームの準備をつき詰めるいい経験だった。雨のプランニング、同じ絵を見られていたか、そこも引き締めないと」と、課題を挙げた。
次節は交流戦最後となるNECグリーンロケッツ東葛。2週連続のビジターゲームとなるが、試合まで中8日。身体を休め、気持ちを切り替える時間は十分だ。トヨタらしい、納得いく戦い方で交流戦を締めくくりたい。
リーグワンでは初の秩父宮での試合となった
相手ディフェンスをかわすCTBロブ・トンプソン
今季初先発のWTB髙橋汰地
FL古川聖人は第7節S東京ベイ戦以来、7番をつけた
今節は大雨の降りしきる中、そして大変な寒さの中にもかかわらず、多くの皆様のご声援をいただき本当にありがとうございました。次節こそ、勝利で皆さまのご声援にお応えができればと思います。
引き続き応援の程よろしくお願いいたします。