リーグワン第8節 交流戦は3月5日、パロマ瑞穂ラグビー場で行われ、トヨタヴェルブリッツはNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安(SA浦安)と対戦。後半、猛追を受けながらも31-22で逃げ切り、6勝目を挙げた。
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ひと月ぶりにホームであるパロマ瑞穂ラグビー場での試合となったトヨタ。試合前は春の陽気となり最高気温17度、東海地方では春一番も記録されたが、最後は冷や汗だった。
滑り出しは快調だった。NO8姫野和樹共同主将、FLピーター・ステフデュトイの力強い突破で相手陣内へ。5分にラインアウトモールからHO彦坂圭克が先制トライを挙げる。15分、SA浦安FBイズラエル・フォラウにトライを返されるも、18分CTBチャーリー・ローレンス、22分LOパトリック・トゥイプロトゥ、25分にはCTBロブ・トンプソンと7分間で3連続トライ。SOライオネル・クロニエがコンバージョンをすべて成功させ、28-5と大きくリードを奪う。
トヨタは前節、S東京ベイ戦で差し込まれたブレイクダウンを修正。1対1の接点でSA浦安を圧倒した。コンタクト後も余裕をもってボールを継続、BKも自在に走り回った。その後は10分近く自陣ゴール前に攻め込まれるも、守り切って折り返した。
サイドが変わった後半、勢いを取り戻したのはSA浦安だった。開始3分、ラインアウトモールからトライ。8分には認定トライ。23点あったリードは9点差に縮まった。トヨタはエリアでは優勢に立っていたが、反則でプレーが途切れ、追加点が奪えない。18分、SOライオネル・クロニエが狙ったPGもわずかに逸れた。
後半38分、SA浦安WTBヘンリー ブラッキンがインゴールに飛び込んだが、TMOの結果、ノックオンの判定。互いに1PGを追加して31-22でトヨタが逃げ切った。
会見で前半とは大きく変わった後半のパフォーマンスについて、サイモン・クロンHCは「too MUCH」とひとこと。
「パワーでトライをとろうと力むあまり、ミスを重ねて相手にポゼッションを渡してしまった」
後半22分、交代出場したSH茂野海人共同主将も「前半は良かった。後半はフェイズを重ねても、繋ぎでミスが起きた。(試合に出たら)ブレイクダウンを修正しようと思っていた」と、指摘した。
序盤、あっさりとトライを重ねたことで、少しずつ個で行き過ぎる部分が生まれ、後半にディフェンスを修正した相手に絡まれた。行き過ぎる分、サポートも遅れ、そこで反則をとられる悪循環に陥った。敗れたSA浦安の金正奎クラブキャプテンは、「後半の入りから素晴らしいアタックとディフェンスができたのは収穫」と胸を張った。
クロンHCは、「それでも勝ちは勝ち。よい学びだった」と寛容だった。
次節の相手は昨季のトップリーグ優勝チーム・埼玉パナソニックワイルドナイツ。トヨタにとっては昨季のトップリーグプレーオフトーナメント準決勝で21-48と敗れた相手でもある。埼玉は開幕から2試合、コロナウイルスの影響で中止(2連敗)となったが、その後6連勝。3位に浮上してきた。
クロンHCは埼玉戦へのキーワードとして「PATIENCE(我慢)」を挙げる。
「辛抱強くフェイズを重ねて、プレッシャーをかけ続けたい」(クロンHC)
それは、SA浦安戦の後半の課題でもある。ほろ苦い40分は、次節への貴重な教訓となった。
この日、1年ぶりの先発となったのが、FL佐藤穣司だ。
黒いヘッドキャップをつけて登場。ブレイクダウンで献身的に働いた。
「佐藤は昨年、脳しんとうで出場機会がなかったが、今日はいい仕事をしてくれた」とクロンHC。
昨シーズンの出場は2試合。開幕の東芝戦、第2節のNTTコム戦と続けて先発したが、その後は脳しんとうの影響で、レギュラー争いから退いた。期間を空け、今季から練習に復帰。第8節で7番のジャージーをつかんだ。
昨年の2月28日以来、1年ぶりの公式戦に本人は「個人として思うようなプレーができず、足を引っ張った」と、反省が口をつく。
クロンHCは「うちには古川聖人という優れた7番もいる。二人で競い合ってチャンスをつかみとってくれたら」。FW3列はレベルの高い争いが繰り広げられているが、佐藤の持ち味はワークレート。「次にチャンスをつかめるよう頑張りたい」
リーグワンはリーグ戦16試合のうち半分の8試合を消化、早くも折り返しを迎えた。チーム内の競争こそ、長い戦いを勝ち抜くための絶対条件となる。
プレーヤーブザマッチに選ばれたFLピーター・ステフデュトイ
FL佐藤穣司は1年ぶりの先発
PR清水岳はルーキーで先発一番乗り
SOティアーン・ファルコンがSHグレイグ・レイドローをハンドオフ
愛知県内の中高校生を招待する企画も実施された
次週のホームゲームも皆様の熱いご声援をよろしくお願いいたします!