トヨタヴェルブリッツはリーグワン第7節で2月26日、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)と対戦。ビジターゲームとして東京・江戸川陸上競技場で開催された試合は20-41で敗れ、通算成績5勝2敗となった。
CRUCIAL MOMENT
試合の流れを左右する重要な時間帯と言う意味で、しばしば使われる言葉だ。勝者となったのは、その時間帯を制したチームだった。
気温13度、チームカラーであるオレンジの服をまとった「オレンジ・アーミー」が埋めた江戸川陸上競技場。トヨタはコイントスで風下を選択した。
前半はS東京ベイが先にスコアを刻み、追う展開となる。3-17とリードを奪われた33分にはゴール前ラインアウトモールからSH福田健太が、右に顔を向けパスすると見せかけ僅かに相手をずらし、自らはまっすぐインゴールに飛び込んだ。クロニエのコンバージョンも決まり、10-17で折り返す。
後半もS東京ベイが先行、トヨタもSOライオネル・クロニエのトライ、PGで差を縮める。
試合の趨勢が決まった時間帯は、後半30分から5分の攻防だった。20-34と14点差。トヨタがトライすれば試合はもつれる。実際、流れはあった。相手陣でスクラムからFLピーター・ステフデュトイ、NO8姫野和樹共同主将の連続した縦突破を起点にフェイズを重ねる。10フェイズ。だがオレンジの壁に隙間はできない。ゴールラインまで5㍍の地点でサポートが遅れ、選手が孤立。ターンオーバーされ、10㍍付近まで戻された。
その後のトヨタのタッチキックはタッチインゴールを割り、ドロップアウトに。相手ボールスクラムとなる。そこからのアタックで、いったんはボールを獲得するも、ブレイクダウンで再び絡まれ反則を取られる。S東京ベイはタッチキックでトヨタゴール前へ。ラインアウトモールからHOマルコム・マークスがトライしたのが36分。それが最終スコアとなった。
「後半、風上のマネジメントがうまくいかなかった。テリトリーやポゼッションをとりたかったが、相手にプレッシャーをかけられてしまった」
サイモン・クロンHCは後半の試合運びを敗因に挙げた。
SH茂野海人共同主将は「しっかりボールを動かして自分たちのペースに持っていきたかったが、相手にうまく時間を使われた」と振り返った。
Fwは80分通して、S東京ベイの
圧力に苦しんだ。これまで安定してきたスクラム、ラインアウトでボールを失う場面も見られ、ブレイクダウンでのジャッカルも影を潜めた。結果、アタックの機会も限られた。
「キャリーのところで細かいディテールをしっかりやればトライまでつなげられた。一つの役割が遅れてしまうことで、トライまでつながらなかった」と茂野共同主将。
激しいブレイクダウン、一瞬で攻守が切り替わるタフな展開。僅かな差が終盤の点差となって表れた。
明るい材料は2年前のトップリーグ2020第6節・2月22日のクボタスピアーズ戦以来の先発となった左WTB小原政佑。昨シーズンはケガでレギュラー争いから外れていたが、序盤、自身の強みであるカウンターアタックでたびたびゲインした。
「練習試合に出ていたので、試合勘は大丈夫でしたが、公式戦独特の雰囲気に浮足だったところもあった。これからもっとボールタッチを増やしていきたい」と今後に意欲を見せた。
東京五輪セブンズ日本代表に専念していた右WTB小澤大も、先発は2014年8月30日のサントリー以来8年ぶり(リーグワン第2節東京サントリーサンゴリアス戦には交代出場)。ベテラン二人の先発復帰は頼もしい。
S東京ベイ・立川理道主将は「後半、FWを使うところとボールを動かすところ、状況に応じて試合をコントロールできたのがよかった」と、後半のゲームマネジメントを評価した。
加入10年目の立川主将は、これがトヨタ戦初勝利。試合直前のウォームアップで先発LOヘル ウヴェが負傷。急きょメンバー外から青木祐樹がジャージーを着る事態も「普段通りのことをやればいいので全く動じませんでした」(青木)。4トライ中2トライに絡む活躍でプレーヤーオブザマッチに選ばれたWTB根塚洸雅は加入1年目で、この試合が初先発。層の厚さも準備も、怠りなかった。
拮抗した時間帯での一つのミス、一つの反則の重さ。敗戦の中に貴重な収穫を得た。
前半33分、機転を利かせてトライを奪ったSH福田健太
後半10分、SOライオネル・クロニエは相手パスをインターセプトしトライ
2年ぶりに先発したWTB小原政佑
セブンズに専念していたWTB小澤大も久しぶりの復帰
会場にはリーグワンの優勝トロフィーも飾られた
次節もご声援の程よろしくお願いいたします!