初のホストゲーム開催となったパロマ瑞穂ラグビー場。
トヨタヴェルブリッツ(以下トヨタ)は、23-19でリコーブラックラムズ東京(以下BR東京)を下し、前週に続いて白星を飾った。
青空ものぞいた前半に舞っていた雪は、試合終了時には横殴りに降りしきる悪天候に。
気まぐれな空模様のように、試合内容も前後半で違う展開を見せた。
前半、強風を背に攻めたトヨタ。
開始1分、NO8姫野和樹共同主将がジャッカルを見せ、PGで3-0と先制する。その後も2PGを追加。スコアボードは3点刻みも、FWがブレイクダウンを支配。BKもグラウンドの幅を広く使い、ハイテンポで攻める。エリアマネジメントも安定、快調な立ち上がりとなった。
前半25分にはゴール前でFWがピック&ゴー、相手を寄せて最後はCTbマレ・サウがトライ。SOティアーン・ファルコンのコンバージョンも決まり、13-0。35 分にトライを返されるが、終了間際にもPGを追加して16-7と9点リードして折り返した。
前節、首位を走る東京サンゴリアスを瀬戸際まで追い詰めたBR東京。風下で戦った前半のビハインドは想定内だった。
「前半は強風下だったので、ハーフタイムでも自信を持っていました。正しいエリアで正しい選択をすれば我々が勝てると」(ピーター・ヒューワットHC)
後半、風下となったトヨタは、キックオフでノックオン。直後のスクラムでも反則を取られるなど、試合の入りで規律に乱れが生じた。前半、味方だった強風は逆にキックマネジメントも狂わせ、守りの時間帯が長くなる。
「お粗末なペナルティをすると、ああいう状況になってしまう」と姫野共同主将。
5分にはCTBメイン平にトライを許し、4点差に迫られる。その流れを打ち破ったのは、22分に交代出場で入ったSH茂野海人共同主将だった。その3分後、相手陣10㍍付近、相手ボールのスクラムの場面。相手の足元からこぼれ出たボールをすぐに拾い上げると大きく右へ。マレ・サウからパスを受けたCTBチャーリー・ローレンスが右中間に飛び込んだ。コンバージョンも決まり、11点差に。
「交代で入るときは役割に徹する。チームを落ち着かせた結果があのトライにつながった」(茂野共同主将)
だが3分後の28分、再びBR東京にトライを返され、再び4点差。そこでチームを救ったのはFL古川聖人だった。後半30分、相手がフェイズを重ねていた場面でジャッカル。ピンチを脱した。マン・オブ・ザ・マッチにも選ばれた古川は、「(ジャッカルは)自分の仕事として、ずっと狙っていました。あの場面は、No8吉田杏さんと二人で奪ったのですが、ターンオーバーできてよかった」
もともと密集での働きには定評があるが、昨シーズン、オーストラリア代表FLマイケル・フーパーが加入したことで、より磨きがかかった。
「ジャッカルに入る姿勢やタックルに入る際のコンタクトも教えてもらいましたが、大きく変わったのはマインドセット。フーパーは、身長体重とも僕とほぼ同じで、世界一のオープンサイドFLとして戦ってる。言い訳できない。フーパーにできることは僕にもできると」
共に働いた吉田も35分に自陣深い位置で、再び相手ボールをターンオーバー。交代出場でフィニッシャーとしての役目を果たした。
最終スコアは23‐19の4点差。2016年度以来のBL東京(当時はリコーブラックラムズ)との対戦は、ミドル級のボクサーが互いにパンチを打ちこむような重厚感に満ちていた。
会見でサイモン・クロンHCは、「風を読んでもっと低く蹴るべきだった。キックマネジメントをもう一度見直す」と強風下でのゲームコントロールを課題にあげた。
これで5節を終え4勝1敗(2試合中止を含む)。リーグワンは、同じカンファレンス6チームとの対戦が終了。1週の休みを経て、もう一方のカンファレンスとの交流試合が6週連続で始まる。
「きれいな勝ち方ではなかったけれど、それもまた評価したい。我々はもっと精度の高いラグビーをお見せすることができる」とクロンHC。
姫野共同主将は「今日は選択を間違えた場面がたくさんあった。修正して次に臨みたい」と振り返った。
6節の相手はコベルコ神戸スティーラーズ。過去、幾多の名勝負を繰り広げてきた関西のライバルを、再びパロマ瑞穂ラグビー場でホストゲームとして迎え撃つ。
マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたFL古川聖人
交代出場で流れを変えたSH茂野海人共同主将
後半25分にトライを決めたCTB
チャーリー・ローレンス
第5節、リーグワン初のホストゲームとなった
今節も降雪のなか、大変多くのご声援をいただきありがとうございました。
次節も応援よろしくお願いいたします!