「これが我々の本当のスタート」
リーグワン第1節の静岡ブルーレヴズ戦が不戦勝となり、実質的な開幕となった1月16日の東京サントリーサンゴリアス戦(以下サンゴリアス)。前週のチーム状況が明暗を分けた。
キックオフはトヨタ。SOライオネル・クロニエのキックで相手陣に入り攻撃を継続したが、反則で地域を戻される。開始3分、自陣ゴール前ラインアウトからNO8ショーン・マクマーンにトライを許す。11分にクロニエのPGで3点を返すが、サンゴリアスは16分にもラインアウトを起点にWTB中野将伍がトライ。ブレイクダウンで圧力をかけたいトヨタだったが、相手の速い球出しに僅かに遅れる。BKもCTBサム・ケレビらのオフロードを止めきれない。サンゴリアスのスピードに翻弄され、前半で4トライを許し、3-29とリードされての折り返しとなった。
後半もサンゴリアスに先にトライを許し、追いかける展開。11分、相手ゴール前スクラムからクロニエのロングパスでWTBヘンリー ジェイミーがゴールラインを超えたのが唯一のトライとなり、最終スコアは8-50。黒星スタートとなった。
試合後の会見でサンゴリアス中村亮土主将は「先週の課題を含め、いい準備ができた」と振り返った。サンゴリアスは開幕戦で東芝ブレイブルーパス東京と対戦。60-46で勝ったものの、前半を24-27とリードされる展開。その課題を修正して迎えたのがトヨタ戦だった。
ミルトン・ヘイグHCも「相手が試合から遠ざかっているのはわかっていました。フェイズを重ね、早いテンポで試合をすることを1週間準備してきました」。
トヨタの直近の実戦は、12月11日に岐阜・長良川競技場で「バロープレゼンツ 岐阜新聞創刊140年記念試合」として行われたサンゴリアスとのプレシーズンマッチ。総仕上げのはずだった12月30日のコベルコ神戸スティーラーズ戦、1月6日のリーグワン開幕戦と続けて中止に。この日の試合はNO8姫野和樹、SH茂野海人共同キャプテンの日本代表組、LOパトリック・トゥイプロトゥ、FLピーターステフ・デュトイら新加入選手にとって、今季トヨタで戦う初めての試合でもあった。
サイモン・クロンHCは「後半は選手たちで修正して戦えていた。前半が残念でした」。チームが試合勘を取り戻す前に、一気呵成に畳みかけるのがサンゴリアスの意図だった。
姫野共同キャプテンは「いるべき場所に、選手がいなかった」と調整不足を認めながらも「今日は完敗。言い訳せず、何を学びどう変えるかは自分たち次第。練習に対しての考え方から変えていかなくては」と、ベクトルを自分たちに向けた。
収穫もあった。肩のケガから7か月ぶりにゲームに復帰した南アフリカ代表FLデュトイは70分間ピッチに立ち、しばしば低いプレーで窮地を救った。「自分たちのミスで不用意なプレッシャーを多く受け、とてもタフな試合でした。でもここが我々のスタート。多くを学べたことが収穫です」と総括。それは選手に共通する思いだろう。
茂野共同キャプテンは「まだ1試合目。修正して次の試合でトヨタのラグビーができるようにしたい」と前を見据える。
リーグワンは、同カンファレンスの相手と2回戦う。サンゴリアスとの次の対戦はリーグ最終節(5月7日)。愛知県内でホストゲームとして迎え撃つ。これからどれだけチームとして成熟を深め、その日を迎えられるか――。この日の80分が、今季のチームにとってベンチマーク(基準点)となる。
1 トヨタとしては2020年2月22日のクボタ戦以来の出場となったFL姫野和樹共同キャプテン
2 南アフリカ代表FLピーターステフ・デュトイも7か月ぶりに試合復帰
3 後半11分、WTBヘンリー ジェイミーがトライを奪う
次節もご声援の程よろしくお願いいたします。