ニューイヤー駅伝優勝へのキーマン
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毎年1月1日、1年で最初の日本一が決定するスポーツイベントであるニューイヤー駅伝、全国から予選を勝ち上がった37チームが、企業の威信をかけて、その健脚を競う。その中に今年もトヨタ自動車の姿があった。過去3度の優勝を誇り、2009年から12年連続で8位入賞以内、優勝した2015年から7年連続で3位以内と抜群の安定感を誇るものの、2016年の優勝を最後に5年間王座からは遠ざかっている。王座奪還へ向け、チームの活性化が求められる今、注目の若手選手が2名いる。それが、共に10000mで27分台の自己記録を持つ、入社2年目コンビの青木祐人と太田智樹である。
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成長への軌跡
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駅伝ファンなら意外と思うかもしれないが、先に頭角を現したのは、中学時代から世代のトップ選手であった太田智樹ではなく青木祐人であった。青木選手はトヨタ自動車本社のお膝元、愛知県豊田市の出身であり、トヨタ自動車への憧れを人一倍もって入社。入社当初は、「トップチームであるトヨタ自動車陸上長距離部で自分が本当にやっていけるのか不安を抱いていた」との言葉から、決して学生時代は高い注目を浴びた存在とは言えなかった。さらには入社直後に世界を襲ったコロナ禍により、多くの競技会は中止・延期となり、難しい時間を過ごすことを与儀なくされた。しかし、大会がないことで地道な練習を繰り返す中、地力を付けた青木選手。7月のホクレンディスタンスで大会が再開されると、デビュー戦でいきなり5000mの自己記録を更新する。夏合宿を経て、10月の中部実業団選手権には10000mでも28分13秒54と日本選手権の参加標準記録を突破した。そして迎えた日本選手権、青木選手は27分58秒63、一気に27分台まで記録を縮め、優勝を狙うトヨタ自動車でレギュラーを勝ち取ったのである。
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ニューイヤー駅伝
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着実に力を付けた青木選手、ニューイヤー駅伝の予選にあたる中部実業団駅伝では6区に抜擢。その起用に応える圧巻の区間新記録は、もともと定評のあった駅伝での走りに磨きがかかっていた。迎えた1月1日、青木選手は6区に抜擢された。ライバル旭化成は前年区間記録の小野選手、富士通は現マラソン日本記録保持者の鈴木選手と実力者が名を連ねた。5区服部選手から襷を受けた青木選手、旭化成の小野選手と競り合いながら、先頭を行く富士通の鈴木選手の追い上げを図る。後半ペースを落とし、鈴木選手からは遅れたが、昨年区間記録の小野選手を抑え、区間2位と起用に応えた。
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更なる飛躍を目指して
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2021年度は5000mの強化にも取り組む。5月の中部実業団対抗陸上では自己記録を大幅に更新する13分38秒05を記録。さらに10月の全日本実業団対抗陸上で記録を13分36秒93まで伸ばした。陸上選手としての目標はトラック種目でのオリンピック出場であり、そのスピードに磨きを掛けている。今年度は体のケアを見直し、余裕を持てるペースを上げ、後半崩れないことを課題にトレーニングに励んでいる。青木選手は言う、「もちろん太田選手を含め、同年代の強力なライバルたちに負けたくない、走りでチームを盛り上げたい」と。ニューイヤー駅伝で青木選手がそのスピードを生かし、持ち味の思い切りの良い走りが見られれば、トヨタ自動車は優勝へ一歩近づくと言っても過言ではあるまい。
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